日本でバレエダンサーとして食べていくには?元バレエ団員が解説

バレエ

(※このページは2022年7月19日に更新されました)

日本でバレエダンサーとして食べていけるのか?

「バレエダンサーの主な収入源は何?」

「そもそも普段どんな生活をしているの?」

「将来バレエダンサーになりたいけど大丈夫かな?」

なかなか情報が少ないバレエ業界なので不安に感じる方も多いと思います。

まず大前提としてバレエで食べていけます!

海外と日本では働き方は変わりますが、日本での主な働き方について元バレエ団員である私が解説します。



バレエダンサーの仕事は主に5つのパターンがある

バレエダンサーの仕事は主に5つの働き方があります。

・バレエ団に所属してバレエ団員として活動する

・外部にゲスト出演し発表会ダンサーになる

・自分のバレエスタジオを立ち上げる

・バレエ教室に講師として雇用される

・振付やワークショップなどを手掛ける

以上の5つがメインだと考えられます。

それぞれのメリットデメリットについて細かく説明していきます。

バレエ団に所属してバレエ団員として活動する

バレエ団に所属してバレエ団員として舞台やイベントなどに参加し、報酬として給料をもらいます。

メリット

バレエ団に所属することでレッスン場やリハーサル環境が保障されることや定期的に舞台に立つことができます。

また衣装や舞台に必要なセットはバレエ団が用意するので団員は踊ることに専念することができます。

バレエ団のレパートリーを踊ることができるので、貴重な経験をすることができます。

海外ツアー公演や学校公演など、個人では経験できないことを達成しやすいでしょう。

舞台ではオーケストラを起用する団体があり、それらも日本では貴重な経験になるでしょう。

デメリット

バレエ団に所属するデメリットは1日の多くの時間を拘束されてしまうことです。

バレエ団でのレッスンに加え、リハーサルを終えると日によっては1日が潰れてしまうこともあります。

リハーサルが長引いたりする際は前後の仕事先に影響が出ることもあるのでスケジューリングが大切です。

またバレエ団の給料だけでは生活が厳しい人もいます。

バレエダンサーはバレエ団での仕事の後にバレエ教室に指導であったり、アルバイトなど他の仕事をする人が多くいます。

中には、副業などで生計を立てていかないと生活できない人もいるので、バレエ団だけで食べていける人は少数です。

また舞台では歩合制を取り入れているバレエ団もあるので、舞台に立つことができなければ給料が発生しないところもあります。

特にバレエ団では日々キャストのオーディションのような環境で仕事をするので、上昇意識やメンタルが強くないと長く籍を置くことは難しいでしょう。

人間関係で挫折するダンサーも多くいます。

外部にゲスト出演し発表会ダンサーになる

外部にゲストとして出演し、発表会などで報酬を得る方法です。

日本ではバレエ教室が多くあるので、そこの発表会に出ることで報酬を受け取ることができます。

仕事内容にはリハーサル前のクラス指導であったり、作品の指導。バリエーションを踊ったり、男性であればパドドゥなどを行います。

メリット

ある程度自分の時間が確保しやすいのがメリットの一つです。

基本的には発表会では大人から子供までさまざまな方と仕事をすることになるので、スケジュールが合えばある程度時間が融通される傾向があります。

時間に余裕が出るので複数の仕事をうまく回すことができるでしょう。

またバレエ団公演と違いゲスト出演は単価がいいのがポイントです。

バレエ教室によって単価に違いがありますが、基本的には高単価な仕事が多いです。

都内から地方まで色々な場所に行く機会があるので、旅行気分も感じることができるので楽しく仕事をすることができます。

リハーサル後にご当地グルメを食べたりなど、有意義な時間になるでしょう。

デメリット

個人事業主なのでスケジュールの管理や、練習する時間や場所を自分で作らないといけないことです。

バレエ団などではレッスンを毎日のように行いますが、発表会ダンサーをしていると自分の練習をする時間が激減します。

仕事先では安定した技術を提供しないといけないので、自己管理がしっかりできないと発表会ダンサーは難しいです。

また、個人として仕事を受注するので営業や横の繋がりも大切です。

仕事をどんどん取っていくには人間関係を意識した仕事への取り組みが重要になるでしょう。

怪我など、働けない環境になってしまった時には収入がなくなるのもデメリットの一つです。

日本では発表会ダンサーが多くいるので、他とは違った付加価値を提供できるようなダンサーでないと仕事を継続してもらうことは難しいでしょう。



自分のバレエスタジオを立ち上げる

自分のバレエスタジオを立ち上げて生徒が集まることで報酬を得る方法です。

バレエを習いたい方に向けての指導や舞台などを計画したりします。

他のバレエ教室にはない強みを出せれば成功しやすいですが、差別化ができていないと運営が難しくなる。

メリット

自分でバレエ教室を立ち上げるので自分の理想通りの教室を開くことができます。

レッスン内容であったり、指導方針。舞台での振付やオーディション対策など自分でベースを作ることができるので目標や目的意識が高い方には充実した環境になります。

こだわりの内装であったり、ダンサーにとっての命である床の改装なども自分のスタジオだからこそ出来ることなので、生徒にとって恵まれた環境を提供することも先生のやりがいになるでしょう。

生徒の数が増えると収入が上がるので、先生のスキルが重要になります。

デメリット

デメリットの一つにはバレエ教室の増加があります。

昨今はバレエ教室が増えてきたこともあり、差別化がしっかりできていないと運営が難しくなってきます。

講師のスキルはもちろん重要にはなりますが、バレエ指導と運営能力は別物です。

経営側としての知識も必要になるので常に自分をアップデートする必要があります。

また、生徒間の揉め事であったり保護者との考えの相違など、問題解決能力も必須になります。

集客についても自分で全て行うため、結果が出るまで時間がかかる人もいるでしょう。

スタジオ設備については、自己資金で改装などをする方が多いと思いますが、

スタジオを整えるのにもある程度資金が必要なので、計画的に資金を準備しましょう。

バレエ教室に講師として雇用される

バレエ教室に講師として雇用され指導することで報酬を得る方法です。

バレエ教室の専属の先生として働き、バレエの発表会などもサポートします。

メリット

バレエ教室で講師として雇用されるメリットは給料が保障されていること。

1レッスンの価格が決まっており、クラスをすることで収益に繋がるということがメリットの一つに上がります。

当たり前のようなことですが、バレエ教室の運営では生徒がいなければ経営は赤字ですし、発表会ダンサーは仕事がなければ収益はありません。

それと比較するとバレエ教室の講師は安定していると考えられます。

また、長く講師を続けることで信頼が得られ独立などをする際は教室側が力になってくれるでしょう。

デメリット

デメリットとしては、仕事内容がどこまであるのかを把握する必要があるということ。

バレエ教室の講師と言っても、バレエ教室によって業務内容はさまざまです。

指導だけして終わりではなく、清掃やデスクワーク、振付やコンクールの引率など蓋を開けてみれば仕事内容が増えていたということも少なくありません。

講師契約を結ぶ前に業務内容を再確認することが重要です。

また一度講師契約を結ぶとクラス単価の交渉が難しく、単価アップを申し出るにはタイミングが重要であり伝えるには技術が必要になります。

また独立などで講師を辞める時には生徒を引き抜いてしまわないように細心の注意を払いましょう。

教室間のトラブルは時間もかかり、何も生産性がないので円満な関係を築いておきましょう。

振付やワークショップなどを手掛ける

バレエ教室などに振付やワークショップをすることで報酬を得る方法です。

バレエ教室によっては舞台での振付依頼であったり、ワークショップを計画しているスタジオもあります。

メリット

振付やワークショップを行うことで、高額な報酬を得ることができます。

振付は作品の規模や分数など、ワークショップでは参加人数に応じて収益が上がったりなど、一般的なクラスレッスンより大きな収益が見込めます。

特にワークショップなどは生徒が希望して参加しているので、仕事がしやすい環境になっていて楽しく仕事をすることができるでしょう。

振付作品は自分の財産にもなるので、運用することで収益を上げることができます。

デメリット

デメリットは個人でのブランド力が重要になります。

ある程度キャリアを積んでいないと、仕事の依頼が来ないので収益に繋がりません。

結果を出すためには積極的に営業をすることが大切になります。

しかし、日本では振付家が少ないのである程度名前が売れれば、収益としては安定してくるでしょう。

ワークショップでは一回きりで終わらないようにレッスン後の営業に力を入れるとより良いでしょう。

まとめ

今回は日本でバレエダンサーが食べていけるのかについての解説でした。

私もプロのバレエダンサーとして10年以上働いていましたが、バレエは狭き門です。

選ばれた人や掴み取ることができる人が少数なので、常に生活のことを考えながら仕事をしています。

以前に比べると日本のバレエダンサーの生活は落ち着いてはきましたが、満足できるものではないのが現状です。

このバレエ界の現状を打破するため、バレエダンサーが充実した生活を送れるように、今後も陰ながらサポートしていきたいと考えております。

秋風清晴

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