(※このページは2022年7月21日に更新されました)
バレエダンサーって踊りながら何考えてるの?
舞台や練習であれだけ動いていて何を意識してるのだろう?
こういった疑問を感じられる方もいるのではないでしょうか。
今回は元バレエ団員がレッスンや本番中バレエダンサーが何を考えているかを解説していきます。
そんなこと考えてたの??
と意外に思うこともあると思いますが、舞台から見えるダンサー目線で語っていきたいと思います。
レッスン中に考えていること
バレエ団では毎日クラスレッスンがあり、リハーサルに向けて体を作っていきます。
レッスンではその日のコンディションによって調整が行われ、ダンサー自身がしっかり体の管理をする必要があります。
午後からのリハーサルがハードだから少しセーブして踊ろうとか、今日はリハーサルが少ないからレッスンから飛ばしていこうなど、目的によって異なります。
朝から入念にストレッチをする人もいれば、開始時間ギリギリでスタジオに到着する人など様々なダンサーがいます。
私自身は朝が弱いので半目でクラスを受けていましたが、ロンデジャンプくらいで目が覚醒してくるのでアップにかかる時間は少ない方でした。
人によっては体が起きるのに時間がかかる方もいてセンターレッスン中もギアが上がらない人もいました。
バーレッスンは基本的に前日との調整があるので、黙々とレッスンします。
バーレッスン中に意識していることはしっかり床を使えているかの確認や可動域の調子、しっかりアンディオールになっているかなどを考えています。
各々が自分の課題を持っているので、それに対してしっかり改善していきます。
もちろん大半は真面目なことばかり考えていますが、余談としてこんなことも考えています。
バーレッスンでは何人かで同じバーを使うのですが、ここでもバレエダンサー特有の勝負が始まります。
例えば、隣の人より足をあげるとか、横の人よりパッセバランスをとってから終わるなど、
よくわからないプライドをかけた戦いが急に始まったりもします。
朝からそんなバチバチしないでよと思いながらも、私もしっかり参戦しておりました。
基本的にバレエ団員は仲良しが多いので、競いながら切磋琢磨しているイメージです。
センターレッスンで考えていること
平和そうに見えるバーレッスンですら少しバチバチ感が出ていました。
なのでセンターレッスンではオーディションさながらに燃えている人もいます。
と言うのも、芸術監督などがレッスンを見ていることがあるので、毎日がオーディションでありアピールするチャンスでもあるからです。
特に少しでも印象に残したいと思うダンサーはセンターレッスンでは特に営業をかけていきます。
センターレッスンでも基本的には体の状態をチェックしたり、テクニックのコントロールなどをメインに調整します。
特にアレグロなど足捌きが求められることに関しては何度も練習しないと体が起きてくれないので、何セットもしたりします。
呼吸がしっかり使えているか、ポジションが正しく使えているか、ピルエットではバランスが定まっているかなど個人の課題を淡々とこなしていきます。
次はセンターレッスンでの余談ですが、やはりすぐに戦いが始まってしまいます。
私は男性ダンサーなので尚更ですが、レッスン中はみんながテクニックを競い合います。
こんだけ回れて凄いでしょ?
この技決めたぞ!
このテクニックみんなは出来ないでしょ?!
みたいなことが毎日のように行われています。
中には職人のようにアダージオに没頭しているダンサーがいたりなど、バレエ団は色々なタイプのダンサーがいて楽しいです。
個人的にはバレエ団での競争は自分の技術を底上げするキッカケになったので、とても意味のある時間になりました。
コールドバレエが舞台で考えていること
舞台で考えていることは様々ありますが、まずはステージとの相性を見ます。
劇場によってリノリュームの状態や床のかたさが違うので、そこを入念にチェック。
本番前に舞台上でレッスンがあるので、その時に踊りやすさを確認します。
また、劇場によっては奥行きがありすぎてテクニックの感覚を修正する必要がある場所もあります。
ライトがどこからきているのかなどもダンサーが考えるポイントです。
技術面に関しては、まずは空間に慣れること、テクニックを劇場に合わせることを意識しています。
後は当然のことですがスペーシングを調整することです。
スタジオと劇場では広さが異なるので、調整が必須になります。
特にコールドバレエなどは完璧な場所どりが必要になるので、入念にチェックが入ります。
なので、バレエダンサーは本番中スペーシングを意識している人が多いです。
私もコールドで踊る時は神経質なのかと言われるくらいスペーシングのことばかり考えていました。
踊りに関しては、基礎をアピールしていくということ。
コールドバレエだからこそ、基礎に忠実にならなければいけないので、そこには特に力を入れます。
バレエ団のレベルはコールドバレエで決まると言っても過言ではないです。
その他は、舞台の温度感を上げることを意識していました。
群舞の中にいるからこそ、劇場を盛り上げようと役に徹していましたし、作品によっては仲のいい雰囲気を観客に伝えたいと工夫していました。
ソリストが舞台で考えていること
ソリストが考えていることは全体的なバランスを取る事と、アクセントとなる踊りで観客を引き込むようなパフォーマンスをすることです。
コールドバレエとは異なり、観客の目線を一気に惹きつけることになります。
なので、一つ一つのステップを特に大切にしなければいけません。
通常バリエーションのような見せ場がソリストには用意されていますが、その完成度によっては作品の印象を大きく変えてしまいます。
バリエーションのクオリティーが求められるのでリハーサルから完璧な状態を作る必要があります。
また、客席の目線がいくからこそ舞台でのバランスなどを意識した振る舞いが必要とされるでしょう。
ソロはスペーシングを意識すると言うよりは物語に引き込ませる魅力や技術を兼ね備えることが重要で、舞台でのキーパーソンになります。
もちろんコールドバレエがあっての総合芸術ですが、ソリストが力不足だと作品が台無しになります。
責任感があり大切なポジションではありますが、強いメンタルを持つことが大事です。
個性あるキャラでみんなを引っ張っていく立場であるソリストは、観客と演者を繋げるようなポジションであると同時にバレエ団のモチベーションを上げる役目でもあるので、ソロを踊る際にはそのようなことも考えて踊ります。
余談ではありますが、コールドバレエが踊っている時は意外と客席を見たりしています。
特にピルエットなど、スポットを決めて回る時には運よく目が合う人もいるのではないでしょうか。
踊っている方からすると、踊りが安定するのでとても助かっています。
まとめ
今回はバレエダンサーは踊りながら何を考えているかについてでした。
ソリストやコールドでは役目は違いますが、同じ総合芸術という舞台ではみんながチームであり仲間です。
各々がバレエ団のために考え、それに向けて実行する。
チームだからこそ助け合いがあり一緒に悲しめる関係でもあるので、チームの団結力がバレエ団のレベルを大きく左右します。
今からバレエ団などを狙う人はバレエ団の公演を観に行き、バレエ団の雰囲気なども視野に入れて考えてみてください。
ちなみに私はカーテンコールでは知り合いを探しまくります。
秋風清晴
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